三船敏郎さんが僕の名前を書いてくれた日〜映画「1941」エキストラ体験記

06/02/2026僕の仕事

スピルバーグ監督作品「1941」で、日本海軍の水兵さんのエキストラをしました

20代前半、このスピルバーグ監督作品「1941」で、日本海軍の水兵さんのエキストラをしました。

アメリカに移住したばかりで右も左も分からず、英語もしどろもどろな時でしたが、その当時に知り合った日系人俳優さんのRさんの紹介でオーディションに合格しました。(こちら(ハリウッド)はエキストラでもオーディションがあります)

50年前の日当が200ドル、頭を丸刈りにして50ドル、潜水艦から海(プールでした)に落っこちるたびに数15ドル・・・。撮影はLAのパラマウント・スタジオで、1ヶ月間、とっても魅力的なバイトでした。

三船敏郎さんが軍服に直筆で「牧 二水」(二等水兵)と書いて下さった時の緊張感は未だに忘れることが出来ません。きっと、そーとーマジな戦争映画になるに違いないと思っていたのですが・・・ こんなはちゃめちゃなコメディーになろうとは・・・

しかしながら、この作品が今日の僕のハリウッド大部屋俳優稼業の布石となったことは確かでございます。

【作品メモ】映画「1941」ってどんな映画?

ここからは、当時を知らない方のために、この映画そのものについて少し解説しておきます。なにせ45年以上も前の作品ですから、「スピルバーグのコメディ?」と首をかしげる方も多いと思うので。

基本データ

  • 監督:スティーヴン・スピルバーグ
  • 公開:1979年(アメリカ)
  • 脚本:ロバート・ゼメキス、ボブ・ゲイル
  • 音楽:ジョン・ウィリアムズ
  • 製作費:約3,500万ドル

スピルバーグが「ノリにのっていた」時期の作品

スピルバーグは「巨匠」ですが、「1941」を撮ったのは30代になったばかりの頃。直前に「ジョーズ」(1975)と「未知との遭遇」(1977)という2本の大ヒットを連発し、ハリウッドきっての新進気鋭の天才として、誰もが次回作に注目していた——そんなタイミングでした。

その彼が選んだのが、まさかのドタバタ・コメディ。「本当に面白い映画を作りたかった。コメディを撮るのは初めてだった」と本人も語っています。期待が大きかっただけに、公開当時は「なんでコメディなの?」と戸惑われ、興行・批評ともに「期待外れ」とされてしまいました。スピルバーグのキャリアでは数少ない「コケた作品」として知られています。ちなみに脚本コンビのゼメキスとゲイルは、この数年後に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を生み出すことになります。

「サタデー・ナイト・ライブ」全盛期のスターたち

主演のジョン・ベルーシとダン・エイクロイドは、アメリカの国民的お笑い番組「サタデー・ナイト・ライブ」の看板スターでした。日本でいえば、当時いちばん勢いのある人気芸人さんが映画に大集合した、というイメージです。残念ながらベルーシは1982年に33歳の若さで亡くなってしまったので、今となっては彼の元気な姿が見られる貴重な作品でもあります。

そこに日本の三船敏郎さん、イギリスのクリストファー・リー(後の「スター・ウォーズ」や「ロード・オブ・ザ・リング」でおなじみ)まで加わる、国際色豊かな超豪華キャスト。これだけの顔ぶれが揃った映画は、今見てもなかなかありません。

三船敏郎さんの出演〜日本人キャストとして

その豪華キャストの中でも、日本を代表する大スター・三船敏郎さんの存在は格別でした。「七人の侍」「羅生門」などで世界的に知られた三船さんが、この映画では日本軍の潜水艦・イ号の艦長を堂々と演じています。コメディ作品とはいえ、その佇まいには本物の風格があり、ハリウッドの面々に一歩も引けを取りません。日本人キャストとして、海外の大作にこれだけ存在感を放って出演していたこと自体、当時としては快挙でした。なお、この潜水艦のシーンには、日本海軍の水兵役として多くの日系人エキストラが参加しています(その一人が、この記事を書いている僕です)。

どんな話?

舞台は、1941年12月の真珠湾攻撃の直後。「次は日本軍が西海岸に攻めてくるぞ!」と噂が広まり、カリフォルニアの人々が大パニックに陥ります。その混乱ぶりを、これでもかと誇張して描いたのがこの映画。実際には起きなかった「アメリカ本土上陸」への恐怖を笑い飛ばす、ブラックユーモアたっぷりの作品です。スピルバーグ自身は、昔の大スペクタクル・コメディの傑作になぞらえて「『おかしなおかしなおかしな世界』とダフィー・ダックを掛け合わせたようなもの」と表現しています。

今あらためて観るなら

公開時は不評でしたが、近年は「言われているほど悪い映画ではない」と再評価する声もあります。特撮や美術、ジョン・ウィリアムズの音楽など、「さすがスピルバーグ」という見どころは随所にあり、アカデミー賞では撮影・音響・視覚効果の3部門にノミネートもされています。完成度の高いギャグ映画として、肩の力を抜いて楽しむのが正解かもしれません。

参考・出典

Yoshio

06/02/2026僕の仕事

Posted by Yoshio Maki