十字架を、抱きしめて生きる

05/23/2026クリスチャニティ

映画好きの方はもうご存知かもしれません。

メル・ギブソン監督の『パッション・オブ・ザ・クライスト』——2004年に世界6億ドルを超える興行収入を記録した、あの信仰映画の続編が2026年4月30日、イタリアでのクランクアップを迎えたとのニュース。

続編は『キリストの復活:パート1(The Resurrection of the Christ: Part One)』と題され、2027年3月26日に公開予定。続いて『パート2』が、同年5月6日に公開される。これらの公開日はキリスト教の暦における重要な節目と重なっており、第1部は「聖金曜日(グッドフライデー)」に、第2部はその40日後にあたる「昇天日」に封切られるようです。

残念ながら、前作でイエス・キリスト役を演じたジム・カヴィーゼルさん(Jim Cavieze)は今作には参加していません。若返りさせるデジタル処理(CGI)のコスト問題を理由に降板、フィンランド人俳優ヤーコ・オートネンが新たにイエス様役を演じるようです。【参考: ・The Christian Post(2026年5月5日) ・Variety(2026年5月22日)】

個人的に彼の出演降板は本当に残念でなりませんが、ジム・カヴィーゼルというアメリカの名優が前作を通じて世界に残した名演は、今でも僕の魂に語りかけています。


僕もSAG-AFTRA、つまりアメリカの俳優組合に登録している、いわゆる大部屋俳優です。映画やテレビやCMの仕事ですが、セリフは数行か、あっても台本の数ページです。それでもハリウッドの制作現場に、15年ほど関わってきました。

カヴィーゼルさんはアメリカのエンタメ業界で、敬虔なカトリック教徒として公言され、生きてきました。その立場から言うと、クリスチャン俳優であるカヴィーゼルさんの生きざまは、同じキリスト者の同業者として、僕には特別な響きを持っています。

一般的にハリウッドのエンタメ業界は、政治的にも文化的にも、かなりリベラルな空気が支配している場所として知られています。撮影現場の待機時間に、誰かと雑談していて、宗教の話題になった途端、空気が微妙に変わることがあります。

多様性や個人の自由を大切にする人が多い。それ自体は悪いことじゃありません。ただ、その空気の中で「自分はキリスト教信仰を持っている」ということは、なんとなく言いにくい時代もありました。振り返ると、ポリコレやキャンセルカルチャーが全盛だった頃は、相手によっては「メリークリスマス!」と言うことさえ憚っていた自分を思い出します。

十字架を、抱きしめて生きる

「あなたの十字架を抱きしめなさい。この異教の世界に出て、公にあなたの信仰を告白しなさい。」ジム・カヴィーゼル

つい最近、SNS上で拝読した上のカヴィーゼルさんの言葉。ハリウッドでキリスト者として生きてきた名優の「「あなたの十字架を抱きしめなさい。この異教の世界に出て、公にあなたの信仰を告白しなさい。」を読んだ瞬間、僕の霊的な思いがぎゅっとなりました。

「それから、弟子たちに言われた。『わたしについて来たい者は、自分を捨て、自分の十字架を背負って、わたしに従いなさい。』」マタイの福音書16章24節(新共同訳)

「十字架を負う」という言葉は、聖書の中にある上のイエス様ご自身が語られたみ言葉です。カヴィーゼルさんは「負う」ではなく「抱きしめる」と表現しました。「抱きしめる」というのは、愛する人を力強く、胸いっぱいに引き寄せるような表現です。自身の十字架を背負い、代償を伴うものでも、それを「愛しい主イエス・キリスト様のもの・・」として、主の十字架を胸に抱きしめる・・

「異教の世界」とは、何も遠い国の話ではないと、僕は思います。

信仰を持って生きることが「少数派」に見えるこの日常。宗教というものが「個人の趣味」のように扱われる風潮。「信じていること」を口にするのが、なんとなく気恥ずかしい、あの感じ・・それが、私たちの日々の営みの中で感じる「異教の世界」ではないでしょうか。

ただ、時代は少しずつ動き出しているように思えてなりません。ハリウッドの現場ではまだ少数派かもしれない。でもアメリカ全体では、風向きが明らかに変わり始めています。

2025年2月、Amazon Prime Videoで聖書ドラマ「House of David」がほぼノープロモーションで静かに配信を開始しました。ところが公開から17日間で2,200万人、最終的には世界4,000万人以上が視聴し、Prime Video第1位を獲得。ニューヨーク・タイムズでさえ「ハリウッドは神を発見したのか?」と問いかけるほどの現象になりました。

カヴィーゼルさんは、その世界の中で、堂々と告白し続けました。『パッション・オブ・ザ・クライスト』の続編への出演は叶いませんでしたが、前作でイエス様を演じて以来22年間、カヴィーゼルさんが銀幕上で演じ続けた信仰の姿勢と十字架の思いそのものが、彼の揺るぎない証なのだと思いました。

05/23/2026クリスチャニティ

Posted by Yoshio Maki